三日目。
最後の日であり審判の日である。
まずは小手調べ。
マーケティング講義が行われる。
そんなことまで教わることができるのだ。
RKCの受講料金はそこそこしっかりした値段がするのだが、ここまでやるとは。
日本でもちょっと前、MBAが流行った。
その辺に興味があってケトルベルにも興味がある大学生は
RKCを受けてみるといいのかもしれない。
英語で議論するチャンスだし、英語で新しい知識を仕入れるというのがどういうことなのか体験できるし。
外国人の友達を作るチャンスだし(
facebookを登録しておくことをオススメします)
実際にMBAにいくより小規模に始められるし。大学生だと時間があるし。
さて、そのマーケティング講義が終わっていよいよ本番。
最初に実技試験がある。
山場だ。
次に
初心者にケトルベルを教えるという実技がある。
外国人の方に上手に伝えられるかとても不安だ。
ここも山場である。
そして最後に
gradワークアウトという最後の最後、タフな練習が行われる。
これが終了して23時間のすべての講習が終了するのだ。
再度の難関といってよい。
これも山場だなぁ。
なんだ、全部山場ではないか。
一歩ずつ頑張るしかない。
まずは練習時間が与えられる。実技試験で披露する基本種目を練習するのだ。
フロントスクワットを練習しているときに
それは
起こった。
ケトルベル二つをクリーンし、胸を張り、しゃがむ。
しゃがんでしゃがんで、最下部に到達したそのとき。
バリッ!!
嫌な音がした。
昨年だかそのまえだか、24kgスナッチの練習を連日
(といっても二日間とか三日間とかなのだけれど)200回していたときがある。
疲労がたまっていたのだろう、または、ちょっとした私の油断が招いたのだろう。
そのときもダウンスイングの際に「バリッ」という音がした。
菱形筋を痛めたのだ。
それからしばらくはケトルベルを触らなかったし触れなかった。
それが、今、でるとまずい。
顔から、血の気が、引いた。
嫌な、汗が、頬を、伝う。
ゆっくり
ケトルベルを
下ろす。
腰は?
背中は?
痛みは、ない。
ゆっくり立ち上がる。
痛みは?ない。
ハーフパンツはストレッチ素材なので破れることはないと思うのだ。
トイレにいってこっそりトランクスを確認する。
ものの見事に、真っ二つに裂けていた。
もう、下着としての役割を果たすことができない
腰から大腿部に気だるくまとわり付く、邪魔っけな布でしかなくなってしまった。
ノーパンで受けるのもどうかと思い、動作に支障がないことを確認して
そのスタイルで実技試験に突入した。
GetUp、24kgで左右一回ずつ。
ダブルスイング、ダブルクリーン、ダブルプレス。それぞれ3回以上。
スナッチ。何回か忘れた。でも、スナッチテストに合格できる実力があれば心配する必要はない。
ところどころでgoodという言葉を頂く。
異国からの挑戦者ということでお世辞が入っていたりするのかもしれない。
それでも嬉しい。
昼食をはさみ、教えることに関する実技試験。
ミスを犯してしまった。怪我や体調に関して、まず最初に質問すべきであった。
私の受講生はとても優秀で、スルスルと上達してしまった。
種目自体の出来は大変良かったと思う。
ここの評価はどうだったのだろう。
知る術も無いが、明確なミスを認知したことで「
日本人で最初の脱落者」
になることが頭をよぎった。
過ぎたことは仕方ない。
頭を切り替えてgradワークアウトに望む。
内容は松下さんが受けたときのものやJoseさんが受けたときのものとは違っていた。
これを読んでいる方が受けるときにもおそらく内容は違っていると思う。
非常にチャレンジングな内容であるとともに、自分の弱点を思い知らされた。
かえって練習しなくては。
山場は越した。
これで終了?
いやいや、肝心なものを忘れている。
結果発表だ。
この三日間は私にとって4年間であり、また、4時間であった。
いろいろな思いが交錯する。
日本人で三人目になるのか、それとも最初の脱落者になるのか。
名前を呼ばれチームメンバーの元を離れる。
インストラクターの元へ。
最初に投げられた言葉は。
「you are passed」
あぁ。やった。感慨深い。本当にこの言葉がしっくり来る。カンガイブカイ。
フィードバックを受けた点は一点のみ。
たまに胸を張る動きが甘くなる、それだけだった。
他のメンバーはいろいろと指摘を受けていたようだが
私はテクニックに関する注意はなし。
これは松下さんの教え方が上手だったという一言に尽きる。
私自身が、結構練習したのはもちろんなのだが、それは当たり前の話であって、
正しい方向に進めたのは松下さんのおかげだ。
(違う方向に頑張っていたのでは意味が無いのだ。)
私はお世辞やおべっかは嫌いだし、できないタイプの人間だ。
だからこそ、ケトルベルの指導においてこの点は保障していいと思う。
修了証とインストラクターの証明書が授与された。
インストラクターのTシャツを受け取る。
(日本でLサイズを着ている私にフィットするサイズはMだった。さすがアメリカ。でかい)
インストラクターのTシャツを着てみる。
ここでまた、ちょっとした感動がわきおこる。
帰りのシャトルバスでは、これはスタートラインだと冷静に考えると同時に
なんともいえない浮遊感と幸福感。
めまぐるしく変わる状況が突然止まったかのような、
1500m走のゴールテープを切った直後のような
なんとも人間らしい感動を味わっていた。
トランクスはやっぱり破れたままだったのだけれど。PR